そこは岬であった。
俺は30~40年の中年男で、とても汚いナリをしている。
おそらくギャンブルに失敗し、借金を背負ったというところだろう。
人生がどん底に落ちた面持ちで、この岬の先に立ち、海を眺めている。
海は深く、大きく、「いつでもお前を呑み込んでやるぞ」と
自分の脚を沈めさせるのを待っているかのようだ。
どうにも、俺はその誘惑に勝てそうになかったので
このまま死んでしまおうか、どうしようか、と悩んでいると
ふと、何者かの視線が刺さった。
俺は仰天した。
いつ現れたのか、その岬の荒々しい風貌とは対照的な、
白いセーラー服の可憐な少女が傍に立っていた。
少女は俺と目が合うと、にこりと笑う。
俺も少女を見ている。
何故ここにいるのか、とお互い聞きもしない。
ただ見つめあい、惹かれ合うかのように
俺たちはそこに立ち尽くしたままである。
少女は麗しかった。
どこの部位を見ても、何もかも腐りきっている俺には眩しかった。
目、唇、鎖骨、手首・・・そして太腿。
自分には少女趣味<ロリータコンプレックス>は無いと思っていたが、
その性的倒錯を、今になって自覚する。
どれも愛おしく、それはある種の欲求へと変わっていった。
俺はしばらくの間、その欲求に任せ、少女を抱く妄想にふけったが
その妄想はすぐ、波の音でかき消された。
長い間見つめあった後、お互いに距離を近づける。
少女は俺を見上げ、またにこりと笑うと、
その白く細い両方の手を、俺の頬に添えた。
この先どうしたら良いか、なんて考えずとも、本能で察する。
俺はその両手を愛しいように握る。
少女の顔は高揚している。
二人は目を閉じた。
体中の全神経が、少女と触れている部位に集まる。
熱を確かめ合うように、互いに何度も唇を重ね合わせる。
もう怖くない。
波の音が世界を支配している。
大きな波が去ったとき、二人の姿はなかった。
岬は孤独に、また深い蒼を織り成している。
・・・そんな夢の話。
寝ても覚めても、ロリコン趣味。
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